TeXについて



TeX(テフと読みます。)は、ワープロ、というよりは、文字を組むシステムです。ホームページというのは、htmlファイルと呼ばれるファイルでできています。
たとえば、このように太字にすると、ここには何も見えませんが、実は、<B>太字</B>のように、マークで囲んであります。BはBold(太字。ドイツ語ではFettdruckと言いますね。)の印です。このようにマークで囲むことで、いろいろな表現ができます。TeXもそのようなシステムの一つです。普通に入力しやすくしたものを、LaTeX2e (ラテフ・ツゥー・イー)と呼んでいます。

興味のある方は、『LaTeX2e 美文書作成入門』(奥村晴彦 著、技術評論社)をお読み下さい。これにはCDもついていて、これを使ってお持ちのパソコンにインストールすることができます。Macの方は、『日本語LaTeX2e インストールキット Macintosh版』(内山孝憲・中野賢共著、アスキー)をどうぞ。

なお、ドイツ語の情報は、永田先生のサイト へどうぞ。

では、TeXの入門から解説していきます。これはあくまで私流ですので、そのことはお断りしておきます。


TeXのインストール

1. http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/mycreate/index.html より、TeXインストーラーをダウンロードします。
2. ファイルをクリックして、インストールします。そのままのデフォルトの設定でインストールできるはずです。

秀丸+祝鳥のインストール
3. 秀丸をhttp://hide.maruo.co.jp/software/hidemaru.html からダウンロードし、インストールする。(秀丸はシェアウェアですので、購入が必要です。)
4. インストール先は、c:\Program Files\hidemaru ですが、そのしたに、macros というフォルダーを作る。 c:\Program Files\hidemaru\macros ができる。
5. 秀丸を立ち上げて、メニューの「その他」→「動作環境」→「環境」を選び、マクロファイル用のフォルダを c:\Program Files\hidemaru\macros とする。
6. 祝鳥をhttp://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/mycreate/fortex.html からダウンロード。zipファイルなので、解凍が必要。解凍ができない人は、http://park8.wakwak.com/~app/Lhaca/より、lhaca をダウンロードして、ダブルクリックし、インストール。出てきたアイコンにzipファイルをドラッグすると、解凍される。
7. 解凍されたファイルをすべてc:\Program Files\hidemaru\macros にコピーする。
(解説は、http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/mycreate/chm/fortex/install/install.html にもある。)
8. 秀丸を起動し、メニューから「その他」→「キー割り当て」→「読み込み」を選び,参照を選んでc:\hidemaru\macros\fortex\fortex.keyを選んだ後に「OK」を押す。
9. 秀丸で「Ctrl + t」(コントロールキーを押しながらt)を押すと、初期設定のための簡易インストーラが起動する。基本的には「はい」を押し続ければ設定は終了する。
10.メニューの「その他」→「動作環境」→「関連づけ」を選び、「追加」を押して,「tex」と入力してOKを押す。最後にOKを押して動作環境を閉じる。

(ご苦労様でした)


マクロの用意

さらに、linguex.sty, xspace.sty, cgloss4e.styを用意して、作成するテキストと同じディレクトリに置いておく。
このファイル名をプレアンブル(\begin{docment}の前)に指定しておく。

\documentclass{jarticle}
\usepackage{linguex}  ←ここを加える
\usepackage{xspace}  ←ここを加える
\usepackage{cgloss4e} ←ここを加える

\title{ここにタイトルを書く}
\author{書いた人の名前}
\date{日付}
\pagestyle{plain}

\begin{document}

ここに本文を書いていく


\end{document}



このできあがりを見るには、Ctrl+ t で祝鳥を起動して、t 、p と押せば、見ることができる。ではいよいよ論文作成です。



1. 論文の構成について

論文は、セクション、サブセクションに分かれています。これは本文中に次のように書いていきます。

\section{最初のセクションのタイトル}
\subsection{サブセクションのタイトル}

\section{次のセクションのタイトル}

2.  例文番号について
 
次のように書けば、コンパイルすると、「コンパイル後」の状態になります。

\ex. This is a sentence.

\ex. \a. The sentence is ungrammatical.
\b. Der Satz ist grammatisch, wenn
  \a. es keinen Akzent gibt.
  \b. der Vorfeld sehr lang ist.


コンパイル後:

(1) This is a sentence.

(2) a. The sentence is ungrammatical.
   b. Der Satz ist grammatisch, wenn
     (i) es keinen Akzent gibt.
     (ii)  der Vorfeld sehr lang ist.


\ex. と(ピリオドを忘れない!) 打てば、連番になりますので、とても便利です。たとえば\b. の下に\a. を入れると、(i) となります。例文を参照するときに、例文(1)では、という場合には、LaTeXには \label{} と、\ref{} というものを使います。百聞は一見にしかずですので、例を見ましょう。

\ex. This is a sentence. \label{sent}

\ex. \a. The sentence is ungrammatical. 
\label{ungramm1}
\b. Der Satz ist grammatisch, wenn
  \a. es keinen Akzent gibt.
  \b. der Vorfeld sehr lang ist.


この例文
\ref{sent} では、... また、例文\ref{ungramm1}では...

このように例文に名前をつけておいて、それを引用すると、「この例文(1)では、... また、例文(2a) では」と関連づけがされます。


3. 例文のカウンタをゼロにする。

さて、章ごとに例文番号を最初からにしたい、という場合があります。このマクロでは、例文の番号をExNo という変数に格納しています。こういうものをカウンタと呼んでいます。カウンタをゼロにすれば、次は1から始まりますので、

\setcounter{ExNo}{0}

と書いておけば、次から1になります。

4. グロスをどうつけるのか。

グロス(語の解釈、逐語訳)をつけるのは自動的に行われますが、そのときには、\ag, \bg のように、gをつけます。円マーク二つは改行の印です。

\ex. \a. No gloss
\bg. This is a first gloss \\
   Dies ist eine erste Glosse \\

\exg. *Dies ist nicht die erste Glosse.\\
   This is not the first gloss. \\


                ↓
(3) a. No gloss
   b. This is  a  first  gloss
    Dies ist eine erste Glosse

(4) *Dies ist nicht die erste Glosse.
   This  is not  the first gloss.




5.. 下付き文字をどう書くのか。

このマクロでは、下付き文字を書くことができます。

\exi. *CP Wen_i [C$'$ liebt_j [IP [NP seine_i Mutter ]%
   [VP t_i t_j ]]]]

          ↓
(5) *[CP Weni [C' liebtj [IP [NP seinei Mutter ] [VP ti tj ]]]]



この\exi. は、_(スペース記号)を探して、それを下付にするのと、括弧([])の次の文字列を下付にする。その際に、括弧に文字列は隣接していなければならない。その場合に、[IP [NP のように括弧の前にスペースがあることが大切である。スペースがないと、次のようになる。

\exi. \a. [[NP Fritz] [isst]]S
\b. [ [NP Fritz ][isst]]S
     ↓

(5) a. [[NP Fritz][isst]]S

  b. [[NP Fritz ][isst]]S

例を見てもわかるように、a. は、Fritz から isst]] までがスペースがないので、そのまま出力されている。 bでは、Fritz の後に空白があるので、次の括弧の次のisst以下がすべて下付になっています。


6. 樹形図をどう書くのか。

次に樹形図です。この樹形図だけは、このLinguex.sty では書けません。このためには、epic.sty (ここからどうぞ)、eepic.sty(ここからどうぞ)、qtree.sty(ここからどうぞ)を使います。これらのファイルを作成する文章と同じディレクトリにおいて、次のようにプレアンブルのところに書きます。まとめて書いても大丈夫です。

\documentstyle{jarticle}
\usepackage{linguex}  
\usepackage{xspace} 
\usepackage{cgloss4e}
\usepackage{epic,eepic,qtree}←ここを加える


\title{ここにタイトルを書く}
\author{書いた人の名前}
\date{日付}
\pagestyle{plain}

\begin{document}

ここに本文を書いていく


\end{document}


実際に書く場合には、次のように書きます。

\Tree [ Tom [ loves [ Mary ].NP ].VP ].S

先ほどの括弧で書く構造図と同じですね。大切なのは、括弧と単語の間には空白がある、ということです。 こう書くと、次のような図になります。

                                         

細かいことをしたい場合には他にもマクロがありますが、大抵はこれで間に合います。

7. 下付き文字をどう書くか。

下付き文字は、\I{Hans}NOM と書けば、HansNOM となります。ブラケットを使う場合は簡単で、

\exi. \a. [[NP Fritz ] [ snores ]]S とします。3を参照してください。


8. 注はどう書くか。

注は、\footnote{}の括弧の中に入れて書く。

9. 文献の書き方

TeXではいろいろな文献の書き方があります。

気合いがある人向けのバージョン。

  1. まず、スタイルファイルを用意します。APAに準拠したものを言語学でも使うことが多いので、apacite.sty、apacite.bst を使います. こちらから。ちなみに日本語対応のスタイルファイルは、http://sils.shoin.ac.jp/~gunji/THU2/Kyozai/thesis/にあるようです。

    \usepackage{apacite}
    \begin{document}
    これは、\citeA{Ch57}において、つまり\cite{Ch57}において論じられている。

    \bibliographystyle{apacite}
    \bibliography{文献データを入れたファイル名、たとえば、lingu.bib だと、lingと入れる}
    \end{document}

    と入れます。
  2. まず、lingu.bibの中身は次のようになっています。
    @Book{Ch57,
    author = "Chomsky, Noam",
    year = "1957", title = "Syntactic Structures",
    address = "The Haag", publisher = "Mouton",
    }
    @Book{La-Sa92,
    author = "Lasnik, Howard and Mamoru Saito",
    year = "1992",
    title = "Move-$\alpha$: conditions on its application and output
    address = "Cambridge",
    publisher = "MIT-Press",
    }
    (注意:本の場合には、必須は、author/editor, title, publisher, year オプションは、volume, number, series, address, edition, month,note
    論文の場合には必須は、author, title, journal, year オプションは、volume, number, pages, month, note
    Proceedingの場合には、必須:author, title, booktitle, year オプション:editor, volume または number, series, pages, address, month, organization, publisher
  3. @Book{の次の名称が、キーワードとなります。Ch57を入れると、lingu.bibから、Ch57の項目が抜き出されます。次のようになります。

    これは、\citeA{Ch57}において、つまり\cite{Ch57}において論じられている。             
                ↓
    これは、Chomsky(1957)において、つまり、(Chomsky, 1957) において論じられている。
  4. このように、\citeA{}と、\cite{}では、引用のされ方が変わります。最後に\bibliography{lingu}と入れておけば、それで自動的に文献が入ります。 このファイルのコンパイルの仕方は、 タイプセット1回 bibtex を1回 タイプセット2回 これでできあがりです。

気合いがない人向けのバージョン。

  1. そこまで気合いが入らない人は、 次のように一つ一つ書きましょう。この場合も、\cite{CH57}で引用を示すことができます。

    ....
    \begin{thebibliography}{} \bibitem[\BCAY{Chomsky}{Chomsky}{1957}}{Ch57}
    Chomsky, Noam (1981). {\em Syntactic Structures}. Mouton, The Haag.
    \end{thebibliography}
    \end{document}


10. グラフィックの入れ方
ここでは、divoutによって表示・印刷を行っています。divout で使えるファイルは、bmp, eps, png, jpeg, tiffです。

やり方(BMPファイル):\usepackage[dviout]{graphicx} を書きます。これでグラフィックの使用準備ができます。

本文では: \includegraphics[width=6cm, bb=0 0 640 480]{sample.bmp}
と入れる。bb=0 0 の次の数字は、横と縦の長さ(単位:ピクセル) サイズが分からないと面倒なので、次の方法がある。

dviout がインストールされているフォルダ(たぶん、c:\dviout か、c:\tex\dviout の中に、CreateBB.exe というプログラムがあるので、クリックして、変換したいファイルを選ぶ と、自動的にファイルサイズを見てくれる、sample.bbというファイルを作ってくれる。そうすると、

 \includegraphics[width=6cm]{sample.bmp}
これだけでよい。
やり方(EPSファイル):\usepackage[dviout]{graphicx} を書きます。これでグラフィックの使用準備ができます。

本文では: \includegraphics[width=6cm, clip]{sample.eps}
数字の指定を考えると、epsが一番楽かもしれない。
テストファイルで見てみましょう。


やり方(pdfファイル):\usepackage[dvipdfm]{graphicx} を書きます。これでグラフィックの使用準備ができます。

本文では: \includegraphics[width=6cm, clip]{sample.pdf}
これでエクセルなどを簡単に出力できるはず。

どうやってEPSファイルにするのか
ImageMagicをインストールします。http://www.imagemagick.org/script/index.php です。
コマンドプロンプトで、convert sample.png sample.eps とする。

11. 表の入れ方

表は慣れないと難しいので、表計算ソフトで作ってから張り込みます。Illustrator があれば、EPSで貼り込むことができますが、EPSファイルの張り込みについては、上記の方法を参考にしてください。

エクセルの表を変換する:
ExceltoTabular http://www.ne.jp/asahi/i/love/E2T/ をインストールする。
何事もトライです。

さらにトライしてみたい人は:
実際に書いてみましょう。次のようになります。
\begin{tabular}{lr}
項目 & 値段 \\
ワイン & 1500 \\
日本酒 & 1200
\end{tabular}

これで、罫線のない表ができるはずです。「l」は、左寄せ、「r」は、右寄せです。中央寄せは、「c」です。欧米のような表だと横線だけが普通なので、次のようにします。

\begin{tabular}{lr}\hline
項目 & 値段 \\
\hline ワイン & 1500 \\
日本酒 & 1200
\hline \end{tabular}

できますか?

12. 相互参照
「先の2.1において論じたように」というように、どこで論じたなどの参照を書く必要が論文の場合にはあります。このばあいには、\label{マージ}などと書くことによって印をつけて、 \ref{マージ}とすることで、それを参照することができます。たとえば、

\subsection{マージについて}\label{merge}
...
...
\subsection{マージの問題点}

すでに、ref{merge}で論じたように、....

となります。なお、ページ数を参照させることもできます。そのときは、\pageref{マージ}とします。

13. 目次
目次は簡単です。\tableofcontents を書くだけです。